後継者が消えてゆく伝統文化をどう守るか?目の前にあるチャンスを掴むべし!
長野県には伝統文化や伝統工芸品が数多くある。
手すきの和紙などというのもその一つだ。当地の伝統の和紙は、原料は楮100%だ。主として、障子を作るために使われてきた。厳寒の地にあることから、冬の寒さや雪の衝撃に耐えられるよう、多くの工夫がなされてきた。厳寒の冬に、太陽にさらして強くさせる。400年の歴史があり、もちろんすべてが手作業で行われきた。
楮のみを原料とするのは極めて困難なことであるらしい。そもそも、今日原料である楮の生産がないからだ。

信州飯山観光局
楮を使った紙がどれほど素晴らしいかといえば、東大寺の書物の多くが楮を使って記されいることで説明される。つまり8世紀から、およそ1300年の年月に耐えうるほど、強く丈夫な紙であるのである。
ちなみに、日本の和紙のふるさとは、埼玉県の小川町であると教えられた。埼玉といえば都心というイメージが私にはあるが、中部であるここは、すでに外秩父に囲まれており、どちらかというと長野に近い感じさせえする。歴史的に小京都であったようだ。そこでも、和紙産業は危機的な状態に陥っているらしい。
なぜ"らしい"とか、"教えられた"という表現をしているかとおいうと、これは、地元の和紙の問屋さんに教えてもらったからだ。
私は、和紙に興味があって、その店に入ったのだ。
自分はガイドをしているし、何かを買って、いろいろと知識を得てみようと思った。またアピールできて、お店の売り上げに貢献してみたいとも考えた。
ところが、彼は、私が質問するたびに、そんなことも知らないのか? どうせ記事を書いても、もう継ぐ人がいないから意味はないだろう。という。小川町も危機的だし、どうすればいいんだ。あんたならどうする。と私に強い調子で迫ってきた。
伝統文化を愛する私はとても悲しいことだと思った。ただし、同時に私は、ビジネスパーソンなので、冷静に状況分析を始めた。
話を傾聴し、関心を示しつつ、始めは、彼を励ますように、精一杯やるしかないですよね。ウェブサイトなどでアピールしているのですか?などと、話をしてたが、そのたびにかえってその言葉のスキをついて、攻撃してくる。
あまりにも、否定的な言葉づかいで、初対面の顧客である私に、敬意や感謝の様子もまったくないので、私は、忙しいので帰ります。と言って、お暇させていただいた。
ただし、一言申し上げた。”もういい加減にされてください。私は顧客です。そのことをご理解されるべきだ”と。聞くにも限度があるのですよ”と。
その主人は、その言葉に驚き、”面白い人だ”と言ってきた。よくあるタイプで、逆に気骨を見せると、信頼してくるというタイプだと思った。
私は、いずれにしても、感謝を示さないタイプとは、基本的に、しっかりとしたお付き合いしたくないので、和紙だけ購入し、お暇させていただいた。
私にも未熟さはたくさんある。日々学ぶことばかりだ。発展途上だ。
ただ、顧客は顧客だ。そのことは商売人としてきちんと、境界線を引くべきだろう。顧客はを大切にしなくてはならない。これは、基本中の基本だ。客に甘えるのは言語道断だ。いかなる時も相手に敬意と感謝を示すことを忘れるべきではない。
もし、彼が、失礼な発言をすることよって、人を試したかったならば、もう少しスマートに試すべきだと思う。
顧客に知識がないことを罵倒して、相手の態度を見るようなやり方は、賢明ではない。
また、状況が劣勢であればあるほど、不断の努力や、研究、感謝、どんな小さなポジティブな積み重ねを続けるしかないことは明白であろう。でなければ、商売を畳むしかないではないか。うまくいかない不満を、初対面の顧客にぶつけてみたところで、仕方ないであろう。気持ちはわかるが、私は非常に不快に感じた。
人生はパラドックスだ。昔から多くのがそういう。シャネルの言葉にもそうあり、励まされたのを覚えている。
うまくいかないときほど、明るくしなくてはいけない。
経済的に劣勢の時ほど、投資をすべき状況が出てくる。
うまくいっているときは、慎重さが要求される。
消えていく伝統を守るのに、それらの言葉を送りたい。
ふざけるな!お前がやってみろ。そういわれるだろう。
その通りだ。私のような人間はあなたの背負う荷物の重さなど理解できる器ではないかもしれない。
でも、誰もが荷物を背負っているのだ。そして、続けたいのならば、ただ、やるしかないのだ。
それからもうひとつ。
可能性に心を開くことだと思う。
私は、和紙やの主人に言ったのだ。もちろん丁寧な言葉で。私は英語ができる。そして海外に商品を売っている。力になれるかもしれない。まずは、一つ購入してそこからやってみたいと。
冷静に賢明に縁や、チャンスに心を開くべきだったのではないだろうか?
かく言う私も、この一つの経験からたくさんのことを学んだ。そして、可能性に心を開くために、しっかりと和紙は買ってきたのだ。後日お見せしたい。
目の前にある可能性に心を開く。チャンスは、意外なところにあるのかもしれないのだから。